「地元の鯛めし」
宇和島の鯛めしはご飯の上に鯛の刺身とといた生卵をかけて食べるという地元料理である。もっと簡単に言うと卵かけご飯の鯛の刺身入りである。愛媛には二種類の鯛めしがあり、南予ではこのタイプであるが中予においては尾頭付きの鯛を丸ごとのせた炊き込みご飯となる。この他にも南予は県下の他地区と大きく食文化が異なり、私らのような好き者にしてみると、ここと高知の幡多地区とで別の県を構成したら四国はもっと楽しくなるのに・・・と無責任に思う事しきりである(笑)。
今でこそ観光案内にも掲載されるようになった鯛めしであるが、地元では料理というよりも当たり前の食べ方であったようだ。田むらも愛南の岩松地区では根付いた料理店だったようであり、メニューにはどこにも鯛めしの文字はないが「お膳メニュー」には当たり前のようにご飯ものは鯛めしである。
さらに方言で私が県外の人間ということを察知したおばさんがわざわざ食べる前に断ってくれたのだが、本日の鯛めしは鯛ではなくてヒラマサである。地元では鯛めしとは「食べ方」であって「鯛料理」ではないらしい。そもそも今でさえ養殖によって年中食べられる鯛であるが、元々は魚にも旬がありその季節季節、その日その日に獲れたもので適した白身魚を用いていたのであろう。
料理屋の田むらは食堂になった今でも地元の人で繁盛している。メニューを見ると、地元だからといって年がら年中、高価な地元料理ばかり食べているわけではないことがよくわかる。冷静に考えればそれは当たり前のことなのであるが、大手の旅行代理店ツアーになれた観光客にとってはある程度高い地元料理を食べて初めてこれが地元の食生活だと納得する傾向もある。この六宝膳750円の値付けが地元での鯛めしのスタイルなのであろう。
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「古さを感じさせる看板。昔はスナックも併営していたようである。」
古さを感じさせる看板。昔はスナックも併営していたようである。
「おそらく最近リニューアルされた店舗」
おそらく最近リニューアルされた店舗
「料理店の外見であるがメニューは定食屋である。」
料理店の外見であるがメニューは定食屋である。
「昼のメニューもなかなかバラエティーに富む上しかも地元食堂ならではの値段である。」
昼のメニューもなかなかバラエティーに富む上しかも地元食堂ならではの値段である。
「六宝膳 750円 右奥の皿が鯛入りの生卵。これをときながら中央のご飯にかけて食べる。」
六宝膳 750円 右奥の皿が鯛入りの生卵。これをときながら中央のご飯にかけて食べる。
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