「登山者の食堂」
香川県高松市から徳島県の南端の海部町まで四国の東部山地を突っ切る国道193号線は国道439号線に勝るとも劣らない四国を代表する「酷道」である。その193号線もさすがに最深部に来ると、台風による度重なる崩落通行止めで国道指定が途切れて未だに約10キロの県道253号線として残されている区間がある。神山町と那賀町の境の土須峠(とすとうげ)で日本一長いダート道である剣山スーパー林道と交差する雲早トンネル付近がそれであり、19番札所『観月茶屋』はまさにこんなところにある。
観月茶屋は、剣山系登山のベースとなっている『岳人の森』で古くから登山者の憩いの場となっていたそばやさんが、オーナー親子の代替わりで最近にリニューアルしたものである。ロッジ風の喫茶店のようにはなったが昔からの「田舎そば」は今でも登山者の人気メニューとして残されている。
実際、ここはもうそばやではなく立派なレストランなのである。壁にあるメニューには「阿波薬膳料理フルコース6000円より3日前からの予約必要」とある。ちょっと待て、ここは四国山地の真っ只中、直近の集落らしい集落までは夜間はまったく灯りのない千尋の谷の崖の細道を車で1時間強、標高1000mの冬季封鎖区間かつ道路崩壊無法地帯である。毎日、市街地で仕入れをして通っているという徳島市在住の気丈なオーナーに聞くと、これでも結構とディナーの予約が入り、お客さんは深夜に代行運転を呼んで町まで帰っていくという。店名のとおり、町の明かりの届かないこの山上で月や星を見ながら食べるフルコース料理は至上のグルメのひとつであろう。しかし夜中にこんなところに呼ばれてしまった代行さんは果たして大丈夫か?(笑)
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「場所が場所でなければ小洒落たカフェといった趣である。くどいようだが場所が場所でなければ・・・(笑)。」
場所が場所でなければ小洒落たカフェといった趣である。くどいようだが場所が場所でなければ・・・(笑)。
「店内も垢抜けたロッジ風。壁には剣山登山のさまざまな写真が。」
店内も垢抜けたロッジ風。壁には剣山登山のさまざまな写真が。
「このフルコースメニューに注目。しかもディナーである。(笑)」
このフルコースメニューに注目。しかもディナーである。(笑)
「昔から登山者に人気の田舎そば。一杯600円だが、場所が場所だけに高いとはまったく思わない。」
昔から登山者に人気の田舎そば。一杯600円だが、場所が場所だけに高いとはまったく思わない。
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