「台付の由来」
三津浜港は松山市の北西部。松山の港の中では歴史的にももっとも古い港である。この三津浜のあたりのお好み焼きがユニークであるということで、最近は「三津浜焼」なる新名称でも呼ばれることもあるが、元来は三津浜の台付そば焼きのことである。
日の出はそのお好み焼き屋の一軒である。台付そば焼きとは中華そばやうどんに下味をつけ具とともにお好み焼きの薄い生地(台)で挟んで焼くもので、いわゆる広島風お好み焼きに似たお好み焼きである。
この三津浜港は山口県方面の船の発着場であり、人の行き来によって向こう岸である広島山口地区の文化が流れ込んでいる。この船の発着の待合の食堂代わりであった日の出も、ちら見すると使用しているソースは広島のものであった。つまりこの台付そば焼きは広島のお好み焼きとなんらかの関係があるかもわからない。ちなみに「肉玉」とはお好み焼きの肉玉焼きと同様の意味であるが、「油」とはいわゆる固形の牛脂であり、焼く過程で油を出した粕を具のひとつとして用いている。食べてみると「味の濃厚な広島風お好み焼き」といった印象であった。
今の愛知県が関東と関西の食文化を融合させて独自の食ワールドを形成しているが如く、交通の要でには様々な食文化が流れ込んで独特の食べ物を生み出しているケースが多い。三津浜の台付そばはそういったものの一種であろう。
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「三津浜の船乗り場近くのお好み焼き屋さんである。」
三津浜の船乗り場近くのお好み焼き屋さんである。
「狭い店内なのでまとめて注文を調理する。」
狭い店内なのでまとめて注文を調理する。
「ホワイトボードに書かれたメニュー。そば台付とはいわゆる広島風お好み焼き。トッピングの油とはラードである。」
ホワイトボードに書かれたメニュー。そば台付とはいわゆる広島風お好み焼き。トッピングの油とはラードである。
「ラードたっぷりの焼き加減。」
ラードたっぷりの焼き加減。
「そば台付肉玉油 650円」
そば台付肉玉油 650円
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